ヨーロッパコース5日目@フライブルグ
17日は、環境都市として世界に名をはせるフライブルグで、
プラスエネルギー住宅の創始者rolf dish氏の事務所兼自宅であるHeliotropeを訪問し、
フライブルグ在住の環境ジャーナリスト村上氏にお会いしました。
Heliotropeとは、
建築士のRolf dish氏が世界で初めて作った、プラスエネルギー住宅です。
下から撮影。
プラスエネルギー住宅では、
その建物の消費エネルギーよりも多くのエネルギーを生み出す建物です。
つまり、建物がエネルギー源となっているわけです。
このHeliotropeでは、5〜6倍のエネルギーを生み出していて、余剰分は売却して利潤を生んでいるそうです。
どのように、プラスエネルギーを実現しているのか…?
代表的な工夫を見ていきます。
・建物自体が必要に応じて回転し、太陽光を調整できる仕組みを備備えていること。
・屋上に設置された太陽光パネルもまた独自に自動で回転しているので常に最適な角度で太陽光を吸収しエネルギーを生み出せること。
・雨水を貯蓄し、太陽熱温水器で熱を取り出し室内の暖房設備としていること。
これはヒーターの部分。
下部の棒のようなものが太陽熱温水器。
他にも、様々な取り組みがあり、あげてるときりがないので一旦ここまでにしておきます。
rolf dish氏は、現在の生活を続けていけば、必ず今の生活は崩壊すると確信しており、その未来の打開策としてこのプラスエネルギー住宅を考案しました。
dish氏の手がけた他のプラスエネルギー住宅。
「もう一度今の生活を考え直さなくてはならない。今着ている服は?食べ物は?車は?どこから来て、どう作られているのか、それを見つめなおさなくてはならない」
そんな時代に今、私たちは立っているのだと痛感しました。
日本では、このような取り組みを行う建築家はおそらくいません(いてもそこまでいないのでは..?)。
だからこそ、現地に来て、この仕組みを知り、彼らの考えを学ぶことがどれほど価値のあることなのか…。
日本にいては気付けなかったこの危機感に出会うことができ、考え直させられました。
さて、午後からは村上氏にお会いしました。
村上氏はフライブルグ在住の環境ジャーナリストです。
著書として、「フライブルグのまちづくり」、「キロワットアワーイズマネー」などが挙げられます。
そんな方に、市内の取り組みを見せていただきながら、
フライブルグ市のエネルギー政策について教えて頂きました。
話を伺いながら立ち寄ったフライブルグの団地。省エネ改修済み
さて、ドイツでは2050年までに目標達成のために1次エネルギー供給を毎年2.1%減らしてかなくてはなりません。
日本ではよく省エネ、省エネって聞きますし、それだけをエネルギー政策として考えがちですよね?
ですが、エネルギー政策で大切なのは、
1次エネルギー供給(エネルギーのインプットex.石油、石炭、天然ガス….)を抑えて、『かつ』
エネルギー消費(何でエネルギーを消費するか)も抑えていくこと
でした。
ドイツでは、この両者を抑えることでエネルギーシフトが行われており、フライブルグなどの都市では2050よりももっと早い年にこの目標を達成する見込みです。
熱効率の高い分譲住宅
地域暖房施設。ここから5万人分の電力と3万人分の熱が供給される
一方、日本では後者のみを抑えることを目的とされているために、
エネルギーシフトが成功する見込みがないのではないか..とも考えられています。
何より、
消費するかを抑えていく(ex.電気消す、28度の省エネ、クールズ)かは、産業を制限し、人々にも我慢を強いてしまい、持続可能ではありません。
エネルギー政策では、
経済的に国にとってプラス、つまり、継続可能
でなくてはならないのです。
そのどちらも満たした(エネルギー消費ex.夏場でも快適な室内、クールビズいらないなど)世界に持って行こうと歩んでいるのがドイツで、
フライブルグなどの都市ではすでにその生活が行われています。
びっくりですよね。
村上氏からこの話を伺うまで、私は日本のエネルギー政策について誤解していましたし、ドイツのエネルギーシフトの構想、それがいかに日本の思想と異なって構成されているのかを痛感しました。