こんにちは、6期の宇宙班です。今回はヒューストンはじめての専門施設のJAXAヒューストンオフィスです。ワシントンオフィスは主に政策関連を専門とし、ヒューストンオフィスでは有人飛行部門を担当しています。ヒューストンオフィスは昨日行ったジョンソンスペースセンターの近くにあり、本日もUberで向かいました。10時から2時間半以上私共にお付き合いいただき、主にISSの衛星放出機構について4人の駐在員の方にお話していただきました。
まず、衛星放出機構とはcubesatを日本実験棟きぼうのエアロックから搬出して放出機構で打ち出し、軌道に乗せるための仕組みのことです。今までに約230機ものの衛星を放出しました。衛星放出機構が生まれたきっかけはISSのきぼう棟は唯一エアロックとロボットアームがあり、それをうまく活用できないかと考えたことからだそうです。ワシントンオフィスに行ったときのブログに「日本の強みを見失わないようにしなきゃと思いますよね」というコメントをいただきましたが、実は日本の強みによってこれが生まれたとも言えます。バブル時代にきぼうの計画を立てたので、コスト面など全く考えず詰め込めるだけ実験棟に備え付けました。エアロック、ロボットアームの他に曝露実験部分や天体望遠鏡などもです。しかしご存知の通りバブルは弾けました。ここからが日本の良いところ?です。ヨーロッパなどは一度決まったことでも容易に変更するようですが、日本は一度決めたことは実現される、これが日本の強みであるとおっしゃっていただきました。当時は特に用途がなく取り付けたものが何年もたち多くの企業、大学、国に使用されているというのはおもしろいですね。メリーランド大学の杉村さんはアメリカは適当な(規制が緩い)ところが良く、逆に日本はしっかりしているから新しいことを始めづらいとおっしゃっていました。しかしその"しっかり"しているにも良い面があるということにおもしろさがありますね。
話を戻しますが、なぜこの衛星放出機構が注目されているのでしょうか。それは小型衛星の需要の高さにあります。寿命の短さや性能を考慮しても、従来の衛星に比べ圧倒的にコストが低いです。現在メガコンステレーション計画をSpaceXなどが進めています。大手IT企業はそれによって、全世界の人に高速インターネットや衛星データ(例えば、グーグルアースのリアルタイム版)を利用できるようにするという話もあるようです。今後小型衛星が市場を席捲するようになるに違いないと感じました。
JAXAを後にし、ライス大学のDavid Alexander教授のもとへ伺いました。David教授はRSI(Rice Space Institute)の代表で多くの政府や宇宙産業関係者とかかわりを持っている方です。非常にご多忙な方ですので、NASAとのミーティングがあるとのことで予定では昨日だったアポが本日に変更になり、さらに授業があるとのことで30分という短い訪問になりました。
あまり多くのことは伺うことが出来なかったのですが、JAXAヒューストンオフィスで聞いた宇宙産業で利益を上げるのは難しいということに関連して、小惑星採掘で利益を上げることが出来るのかと質問してみました。David教授曰く、今の状況では難しいが宇宙アクセスが容易になり、さらに宇宙上にガスステーションが作られれば、可能かもしれないとおっしゃられました。さらに携帯部品に使われているレアメタルや地球上に存在しない物質を得ることが出来れば大きな売り上げにつながることは間違いないとのことです。やはり、ロケット打ち上げのコストを削減することが今何よりも一番重要であることが実感できました。
最後にDavid教授は「payload design」という授業に招待していただきました。かなり少人数のクラスで大半がお菓子を食べながらリラックスして聞いていました。私たちが教室に入るとすぐに授業が始まりました。
まず”payload design”をするにはまずミッションの対象を理解する必要があると仰っていました。そしてそのためにもどのようにpayloadを操作するか、それが貨物船にどのような影響を与えるかを知る必要がある。そして一番重要な要素はpayload designerとspacecraft engineer、system engineerが円滑にコミュニケーションができることが大切であるとおっしゃられました。
Houstonは非常に様々な人種の人がいます。Rice大学内も多くのアジア人がいました。なんと、そのHoustonも明後日に発ち、明日が実質渡航最終日となります。気を引き締めて頑張りたいと思います。