本日はJAXAワシントン駐在員事務所にお邪魔させていただきました。ワシントンオフィスは主にNASAとの連絡調整や、米国宇宙政策・宇宙航空関連企業の動向調査、アメリカ国内でのJAXAの広報普及活動を主に行なっています。そこで、私たちは日米の宇宙ベンチャー企業について駐在員の梅田さんからお話を主に伺いました。
まず日米の宇宙産業のスタートアップの違いは二つあります。一つ目は資金調達面です。ご存知の通り、アメリカの方が資金面では圧倒的に日本に優っています。それはアメリカでは投資家の存在が大きいからです。投資家が日本よりも多く、かつ失敗を意に介さず投資するためアメリカのベンチャー企業は多くの資金を得ることが出来ます。二点目は人材の流動性にあります。NASAで勤めていたエンジニアが企業に再就職したり、民間の中で転職したりすることも多々あります。そのような流動性が宇宙ベンチャーを多く産む要因の一つだとおっしゃっていただきました。
次に、ベンチャー企業が抱える問題点についてお話ししていただけました。アメリカはややその傾向は弱いものの、民間の中で自立的に運用している企業がいないことを挙げていただきました。政府のお金で事業が出来ている企業が日米関係なくほぼ全てに当てはまります。しかし、ゆくゆくは民間の中だけで完結できることが望ましいのです。なぜかというと市場の大きい産業は基本、政府が財政的に関わっていないからです。持続可能な産業体系を形成するためにも、民間の中だけで自立的に運営する企業が現れることを私は望んでいます。
しかし、この問題を解決するのにもかなりのハードルがあります。宇宙ベンチャーは収益化することが難しいという点です。現在、政府に頼らずに収益化するには衛星のデータを農業や漁業に従事する人に売るという方法があります。収益化が難しいのは、その人たちが衛星データを実際に活用して、事業に反映させるためには、システムの改修や仕事のやり方の変更などのハードルがあるからです。もちろん、データを使えば農業や漁業の助けになることがたくさんわかります。しかし、それを利用しようと思うまでには大きなギャップがあります。UAVを使えばコストも大きく下がるし、そのような人たちのシステムにそれを取り入れるのにもハードルがあります。だから、潜在的なニーズを掘り起こし、どのように利用できるかを説明して、かつ利用者が利用しやすくする必要があるのです。この問題点はなかなか解決できるようには思えなかったです。
午後からは、国際スパイ博物館に行きました。この博物館では、多くのスパイについて展示しています。
これはMata Hariです。第一次世界大戦で活躍したスパイのようです。フランスの輸送船がUボートに攻撃されたという失敗を擦りつけられ、スパイ容疑で処刑されました。
こちらはClint Emerson、Navy SEALsに所属していました。アフガニスタンやイラクにチームと同行し、ピッキングを行なっていたようです。SEALsといえばウサマビンラディンの殺害作戦を実行したことで有名です。
このように、この博物館では世界中のあらゆる時代のスパイに関することを扱っています。今回は東西冷戦時代のCIAとKGBの対立についてを取り上げて紹介したいと思います。
この置物は1945年にソ連のアメリカ大使館に届けられました。実はこれは盗聴器で、気づかずに1952年までそこに設置されていました。冷戦は1946年のチャーチルの鉄のカーテン演説や1947年のトルーマン・ドクトリンが始まりと言われていますが、戦後すぐにもう世界をどちらが牛耳るかという争いが始まっていたのですね。
1950年代には代理戦争である朝鮮戦争が勃発し、休戦しました。その後すぐ米国はソ連を偵察するために、U2という航空機を開発しました。これは対空ミサイルが届かないほど高高度を飛行できます。1962年に起こったキューバ危機時に、ミサイル建設を発見したのもU2です。
しかし、対空ミサイルの発達によりさらに高度を上げる必要がありました。そこで60年代から80年代にかけてはソ連を偵察するために衛星が使われていました。
その時期に活動したスパイについての展示ももちろん
あります。
もともと、アメリカに潜伏するKGBの夫妻について描かれた「ジアメリカンズ」というドラマを見て(面白いので是非見てください)興味を持ったのですが、意外とドラマが誇張していないことにびっくりしました。
歴史を調べるときは基本、マクロな視点や権力者を見ることが多いですが、今回博物館に行ったことでこのようにミクロな視点で調べてみるのも面白いことがわかりました。
明日は少し離れてメリーランド大学へと向かいます。
日本の強みも見失わないようにしなきゃと思いますよね。