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3期アメリカ6日目

本日午後はAsian Museum of Artに訪問しました。この美術館はインドにおける仏教の発生から日本への到来までを取り扱う美術館です。この美術館を訪問した理由はアメリカの方々がどのようにアジアを見ているのかを学習するためです。

 


しかし今回の渡航により得られたことは当初の目的とは大きく異なります。そのことについて今日は書きたいと思います。日本の展示のコレクトに関しては確かに装飾の施されたものや現代アートも多いのでこの美術館の最大の見せ場は日本の展示であるのだと思いました。

 

 

 

 

しかしこのことを考慮してもほかのブースに比べ日本のブースは見学者は多い印象がありました。このことは現地の方の日本の展示への興味が非常に高いことを示しているのではないかと思います。 一方で非常に気になったことがあります。 この美術館ではメディアプレーヤーによる音声ガイド付きガイドを英語・フランス語・ヒンドゥー語・中国語・韓国語で用意しているのですが、日本語のガイドはありませんでした。また、多くのアジア系の方は美術館に来場し、自分たちの国の展示を観覧しているものの日本人は自分たち以外にはいませんでした。このことは日本人があまりこの美術館に来ていないことを示しているのではないかと思います。やはり、世界的に見て日本人は自分たちへの文化の関心の低いのだと感じました。「愛国心を持ちなさい」と聞くと、日本では右翼の人の使う言葉だと思われ、非難されることが多いかと思います。しかし、世界ではそうではないのかと思います。しっかりと自分の国の誇れることについて語れること、自分が政治的な出来事に関心があるだけではなく政治についてどう思っているのか語れることが重要であることをあらためて思いました。一方で、日本の文化は世界中の関心を集めるほど魅力的なものであるのだと感じました。

ただ,今回訪問した美術館で展示してある展示物は本来の「場所」から遠く離れているところにあります。「文化」は発生した場所にあるとより「すばらしいもの」となります.日本の古い神社の奥に隠れるように鎮座している仏像こそ「文化」と「場所」が調和し,より多くの人の心に訴えかけることができると感じました。だから、国外に多くの作品を流出してしまったことは大きな問題であると感じました.

 

 

この文化への高い関心を利用して多くの人に正しい「日本」を知ってもらえたらよいと感じました。

 

 

本日の訪問先の二つ目は,SFJazzCenterにてDianne Reevesのコンサートを鑑賞しました。

 

 

Dianne Reeves氏はこれまでに4度のグラミー賞やベストジャズボーカル賞を獲得している女性ジャズシンガーです。

 

ピアノ,ギター,ベース,ドラムのメンバーがまずは,Dianne氏なしで演奏を始めるという幕開けだったのですが,ピアノのバッキングとドラムのリズムを刻む音との息づかいや,力強いベースとは対照的に,その技術を遺憾なく発揮するギターといった具合にその個人の技量もさながら,バンド全体のコンビネーションも素晴らしいと思いました。

一曲目が終わり,息をつく間もなく主役であるDianne氏が登場し,会場はより一層の盛り上がりを見せ,Dianne氏も得意のスキャットを取り入れた曲を織り交ぜ,観客を魅了していました。また,終盤に差し掛かると彼女が1970年代,自身の拠点をロサンゼルスに移した際出会った,ラテンアメリカの音楽を混合させたラテンジャズを披露し,私たちも含めたその場にいた全員が,ラテンのリズムに乗った彼女のパワフルな歌声に心を奪われていました。

 

私自身もクラシックという,分野は違えどコンサートという名の付くものに行きますが,日本のコンサートと今回訪れたアメリカの特にサンフランシスコのコンサートの大きな違いの一つとして,体に障害のある方への運営側の配慮であったり,あるいは体に不自由のある方が気軽に音楽を楽しめる環境にあるということがあげられると思います。

 

今回のコンサートにも,車いすの方や盲導犬を連れた方などが何人かいらっしゃいましたが,他の方と変わりなく楽しんでおられました。

私の少ない経験上,車いすで鑑賞される方は見たことがありますが,盲導犬を連れての入場はこれまで見たことがありませんでした。

 

これこそ,彼女の言う“音楽の魅力”なのではないでしょうか。

 

彼女はコンサートの中で「One people. One world. One love.」という言葉を一番最後の曲のメッセージとして,観客である私たちに訴えかけました。

直接的でないにしても,今アメリカが直面している民族や貧富,宗教の壁に対し,一種の世界共通である音楽という言葉を使って反発し,現状をどうにかして打開しようという強い気持ちが,彼女の声にあったように思います。

 

老若男女,肌の色も国籍にばらばらな人々が,スマホのライトを星に見立て一同が手を振り,Dianne Reeves氏のコンサートホールという空間の中に,星空が生まれた時,私はふと,そんなことを感じることができました。

 

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