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universeコース17日目

こんにちは!!!!!宇宙班です。ついに訪問最終日で明日空港へ向かいます!本日はまず始めにNanoRacksに行ってきました。NanoRacksは2009年創業のベンチャーで、NASAとの契約の下、微小重力実験の商業サービスを提供しています。具体的には国際宇宙ステーションの与圧内実験、曝露実験および超小型衛星(CubeSat)放出のサービスです。これまでに350の積載物を取り扱ってきており、顧客にはNASAやESA、宇宙ベンチャーや製薬会社などがあります。Nanoracksがあるのはヒューストンのウェブスターという地区で近くにはairbusやleidosなどの宇宙関連企業のオフィスがたくさんあります。理由は二つあり、一つ目は"宇宙に近い"ことです。Johnson Space Centerが近くにあるのでISSに物資を送りやすいそうです。今日もトラックに積荷をしていて、全て宇宙に行くそうです。二つ目は優秀な人材を集めやすい点です。今日の訪問では多くのエンジニアの方とお会いしましたが、NASAに以前勤務されていた方もたくさんいました。NASAが身近にあるということがどれだけの強みなのかを改めて理解できました。
そして今回お会いしていただいたのが、NanoracksのCIO、Lewis Mikeさんです。はじめにパワポでNanoracksの説明を受けた後、オフィスツアーをしていただきました。
そしてまず、私たちに見せていただいたのは分離機構のモデルです。
とてもシンプルな仕組みで、バネの力で衛星を放出します。さらに奥へ行くと、管制室がありました。
一昨日行ったJohnson Space Centerのものよりはもちろん小さいです。
そしてさらに奥へ進むと、ラボがありました。
そこには現在製造中の分離機構がありました。エンジニアの方々からも少しお話をしていただきました。この分離機構では最大12機同時に放出が可能です。 端にはKaberが置かれていました。
Kaberは今までのものよりもやや大きな衛星を放出することが出来ます。建物を移り、エアロックの製造現場へ向かいました。移動中、宇宙飛行士の訓練中の戦闘機が飛び交っていて、あーヒューストンだなぁと思いましたね笑。このエアロックはISSで作動する民間初のものになるようです。
これが現実に宇宙に行くなんて凄いと思いませんか?
ツアーを終わり、ディスカッションをしました。まずはじめにNanoracksの企業理念であるオープンソースについてお伺いしました。オープンにすることで競合他社に塩を送る形にはなるが、一方宇宙産業を活性化し、人間の活動範囲をさらに広げることに貢献できます。Nanoracksは後者を優先したとおっしゃっていました。そして次に衛星放出機構を始めたきっかけについて質問したところ、偶々だという答えが返ってきました。偶然日本がISSで衛星を放出していると聞き、一度Nanoracksはそこから衛星を放出しました。それがうまくいき、これをビジネスにすれば確実に成功すると確信し、始めたらしいです。
ここNanoRacksに来て、気づいたのはMikeさんをはじめ全ての方が明るく、楽しそうに仕事をやっているということです。そのことを聞いてみると、好きでやっているからだという答えが返ってきました。UCLAの白井さんも同じことをおっしゃていました。やっていることが”好きである”ことが成功に繋がるのだと感じました。
午後は昨日と同じくライス大学のMustafa Amin さんにお会いしてきました。
Aminさんはライス大学でアシスタントプロフェッサーを務めており、過去にはMITでポスドクを務めた経験もある物理学者の方です。現在は宇宙物理学を専攻されており、特に重力波や非線形のダイナミクスについての研究をされています。Aminさんには主に現在の宇宙物理学におけるアメリカでの研究についてや、工学分野との関連性について伺いました。
まずはじめにアメリカにおけるAminさんの研究分野の発展についてですが、彼の分野は2016年に重力波が初めて観測されてから非常に大きく発展してきた分野です。これはアメリカのみならず世界全体でこの重力波の研究に注目が集まっており、それに伴い研究者の人口も増加したことによりさらなる発展を遂げている分野であるということです。この重力波研究も現在では新たなフェーズに突入しており、今までは重力波をいかに検出するか、その発信源はどこなのかと行った基礎的な研究が多かったものの、現在では重力波をどのように研究に活かすのかという点についての探求が進んでいるようです。重力波を用いて今までは表面的な観測しかできなかった天体の内部構造を調べることや、宇宙が誕生してすぐの頃の重力波の検出でその時期の情報を手に入れることも可能になるかもしれません。そういったように重力波を現在の電磁波と同様に扱える日が将来的に来るだろう、そしてその頃には様々な研究、開発で重力波の技術が用いられ、さらに宇宙のことが詳しくわかるようになるだろうとのことでした。しかしながら現在そういった技術はまだできておらず、実際に応用に用いるのは現実的ではないようで、本当にこの研究における将来がどうなるかは未だ分からないようでした。
次に工学分野との関連性についても伺いました。これは今回の渡航を通して様々な研究機関に訪問する中で気になった点の1つでした。特に工学分野の中でも現在の宇宙開発競争の先頭を走っている超小型衛星やCubeSatとの関連性について興味を持ちました。このような現在の宇宙開発の発展により、やはり衛星の打ち上げがかなり容易になることは理学分野に対する貢献も大きく起こるようです。特に宇宙の観測を行うような研究においては地球上よりも宇宙空間での観測の方がより良い結果が得られる可能性があり、様々な分野で衛星技術の応用が見込めるとのことでした。しかしながらこれまでの訪問でも多く聞いていた通りまだ実利用での衛星活用は現実化しておらず、かなり難しいとのことでした。特に重力波の検出となると理論的に地球上での観測とそれ以外ではあまり制度などに大佐はなく、衛星を用いた研究はあまり実用的ではないため、ただコストがかかるだけのように感じられます。
Aminさんへの訪問で特に印象的だったのは宇宙研究分野における日本とアメリカの違いについて伺った際のことでした。Aminさん曰く2者に大した差はなく、それぞれに良い点があるとのことでした。また、よりインターナショナルな視点を持つことで国ごとにどんな研究を行ってどんな良い点があるのかがわかるとのことでした。これは宇宙研究だけでなく全ての分野に言えることだと思います。日本、アメリカ、理学、工学と一点一点をポイントとしてみるのではなく、全体を俯瞰しながら考え、学ぶことでより良い研究や学問に繋がるように感じられました。
6期宇宙コースの渡航はこれにて終了となります。明日は朝から飛行機なので帰国後この渡航を通しての総括をアップしたいと思います!それではまた次回!
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One Response so far.

  1. ks より:

    渡航お疲れ様でした。

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