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国立研究開発法人物質・材料研究機構 訪問

こんにちは! EPATS 8期の長藤と満留で国立研究開発法人物質材料研究機構を訪問して、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 ナノセオリー分野 量子物性シミュレーション分野 主任研究員の田村亮様のお話をお伺いしました。私(長藤)の興味のある分野がマテリアルズ・インフォマティクス(MI)という分野なので、この分野についてお伺いした内容を以下に簡潔にまとめようと思います。
その前に、MIについて簡単に説明します。MIとは機械学習を用いて、材料開発の期間の短縮やコストの削減を試み、さらには革新的な材料の開発を目指す分野です。

MIの意義

材料の合成では1つ作るのに数ヶ月単位の時間を要するものがたくさんあり、シミュレーションをするにしても、1つを計算するのに数日かかるものがたくさんある。ここで機械学習を使うことによって、上手くいきそうな材料を予測し、実験やシミュレーションの回数を極力減らすことがMIの意義である。実験やシミュレーションの回数を減らせれば、材料費や機械の維持管理費を減らすことができるし、開発期間の短縮につながり、材料の研究開発を加速できる。機械学習をさせるにはたくさんのデータが必要だが、上で述べたように、材料のデータを得るには手間とコストがかかるのでまとまった量のデータがあることは少ない。そのため、少ないデータからいかに有用な情報を抽出できるかが、MI研究成功の鍵である。一方で、こうした問題を解決するために様々な材料のデータベースの整備が進んでいる。しかし、ある物質Aとある物質Bを反応させることで物質Cができる場合でも、作る場所(気温や湿度)や機械、作る人によって、物質C、C’ 、C’’などのように少しずつ差異のある物質ができるため、統一的なデータベースを作るのはとても挑戦的なことである。

MI研究者の実態

MIの研究者は主に情報系の研究者が作ったアルゴリズムを材料開発に使いやすいようにアレンジし、適したアルゴリズムを開発する。そのため、一から自分で機械学習や人工知能技術に特化したアルゴリズムを作るということはあまりない。実験屋さん等と一緒にチームで仕事をするのでコミュ力は大切。

田村様のお話をお聞きして、MIについてのイメージを掴むことができ、この分野に対してさらに興味が湧きました。物質を合成する際に誰がどこでどんな装置で作るかによってできる物質に違いが生まれるというのは驚きでした。

研究以外の興味深いお話もたくさん伺うことができた。特に印象に残った3つを紹介する。

1つ目は、国立の研究所での研究テーマの決め方についてだ。国立の研究所では、研究所が示す研究方針があり、その方針に合わせた研究を行うことが重要とのことです。そのため、完全に自由に研究テーマを決めることはできないが、全くできないということではないので、やりがいがあるとのことでした。

2つ目は、研究所での研究と、大学での研究の違いについてである。大学と研究所の最も大きな違いは学生がいるかいないかである。大学では学生教育も重要であるが、研究所では研究だけに打ち込める環境がある。ただ、大学院生がいないということは、自分自身や雇用したスタッフが進めないと研究が進まないため、一長一短ではあると思っている。

3つ目は、研究者になるうえで役に立つことについてだ。田村さんは「学生時代にはしっかり研究し、そしてしっかり遊ぶ、切り替えができるのは大事。ずっと研究だけでは気が滅入ってしまうときもあるので。」とおっしゃっていた。優秀な研究者の中には、テニスやスイミングなどの適度な運動をして気分転換をしている人も多いそうだ。また、研究者はひとりで寡黙に研究しているイメージを持っている人もいるが、現在ではグループ研究が主流となっており、コミュニケーション能力が研究の成功のために不可欠となっている。大学生活の中で、学問をしっかりと習得することに加え、コミュニケーション能力や切り替えをしっかりと行う能力も身に着けたいと思う。

この場を借りて、お忙しいにも関わらず、今回の訪問を快諾していただき、貴重なお話をして頂いた田村様にお礼申し上げます。

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