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3期 ヨーロッパコース 10日目

ヨーロッパコースの黒崎です!
ヨーロッパコース10日目はOttobock Science Studioを訪問しました。

ottobock社とはあまり聞きなれない会社名かもしれません。この会社では、義足や義手、車いすなどの開発販売を行っています。

建物には、リオパラリンピックのポスターが貼られていました。ottobock社とパラリンピックの繋がりをとても感じる一幕でした。なぜ繋がりがあるかというと、これはヨーロッパに訪れる前に、otttobock日本支社を訪れた際に聞いた話なのですが、ottobock社では長年、パラリンピック選手を支援していて、パラリンピック会場に特設ブースを設け、選手の義足や車いすなどのメンテナンスや修理を無償で行っているようです。ottobock製だけでなく、他メーカーの修理メンテナンスも無償で行っているという話を聞きとても驚きました。

建物の壁は、白い流線形の形をしていました。この独特なデザインは、筋肉繊維の組織をもとにデザインされているようです。義足、義手や車いすなど、人間の体の一部となるものを生み出しているottobock社ならではのデザインであると感じました。

 

建物の中に入り、ガイドさんとお会いし、展示品について案内してもらいました。

ゆっくり歩いている時と、走っている時の足の使い方の違いについて、説明して頂きました。歩いている時はかかとからついて地面を蹴り出すのに対して、走っている時は、かかとは使わず、‘つま先だけ’を使い前に進みます。

言われれば当たり前のことのように聞こえますが、普段はなかなか意識しないことだと思います。このことを利用して、陸上など走るための競技用の義足は、つま先立ちをしているかのような形になっているそうです。

また、陸上用義足だけでなく、バレーボールやバスケなどの方向転換を必要とする競技に用いる義足についても説明して頂きました。この義足はかかとが地面に着いています。これは、走ることのみに特化した義足と異なり、方向転換などもできるような構造になっているようです。

義足には強度と軽さが求められるため、素材にはカーボンが用いられているようです。選手がより速く走るためには、いかに軽く、いかに反発力を生み出すかが重要であると感じました。陸上の場合、パラリンピック選手は、義足の性能にも、記録を左右されてしまう可能性があることを感じ、より良い義足の開発の必要性を感じました。

 


次に、人の性別や体形、感情などの違いによって、人の歩行にどのように変化をするかを学ぶことができる装置です。人間の体の15か所にライトが付けられ、ライトの光のみが見える映像となっていました。
様々な条件を変えることで、肩や腰の幅、歩くスピード、手の振りの大きさなどが変化していく様子を学ぶことができました。義足などの研究を行うために人の歩行を観察する際に、性別や体形だけでなく、“感情”までに注目する必要があることは想像できなかったので、学ぶことができて良かったです。


黒い柱に二つの穴が開いていて、中にあるものを当てるということを体験しました。左右には、2つの重さの違う球体が入っていました。「素材まで当ててみて」、と言われたのですが、なかなか分かりません。「爪でひっかけてみて」というヒントを言われて左の球体は、表面の凸凹を感じ、木製であることが分かりました。一方、右の球体は、ツルツルしていたため、鉄製であることが分かりました。この装置では、人間のある五覚の中で、視覚の情報を遮断されてしまいます。触覚のみを利用して状況判断するということの難しさを感じました。

ホモンクロスと名付けられた不思議な人形を用いて、人間が外界から刺激をどこで感じているかについて説明して頂きました。ホモンクロス人形は唇、目、鼻、手、耳が特に強調されて作られています。この人形の外見はあまりにもインパクト強く、とても印象的でした。

人間の手と義手の構造の違いについて学びました。人間には、肘から手首にかけて2本の骨があります。

人間の手首を回転させる場合は、その2本の骨がねじれます。一方、義手の場合は、1つのモーターで腕が360度に回転します。また、人間の指は5本あるのに対して、義手は親指、人差し指、中指の3本のみです。このように義手は、人間本来の構造を完全に真似ているわけではありません。義手を開発する際には、求められる動きを再現しつつ、いかに単純な構造で作るかが必要とされるそうです。


1本の板の上を歩いて渡るという装置です。まず初めに、草の映像が映し出されている中、橋を渡りました。何も違和感なく、普通に渡ることができました。次に高層ビルの上を歩いているかのような映像が流れる中、板を渡りました。まるで綱渡りのロープが揺れているかのうように、映像は左右に激しく動いていました。そのため、自分が揺れているかのうように錯覚してしまい、動かない板の上を渡る時も、よろめいてしまいました。
この装置を通して、視覚が歩行機能に与える影響を実感することができました。

 

ランニングマシーンを動かすと、それと連動して義足も動くという装置を体験しました。義足は、電子制御膝継手によって膝部分の角度などが制御されています。本物の人間の脚のような、膝の滑らかな動きの再現に、最新の義足の技術の高さを感じることができました。

 

ドイツの人口比率に対してもお話しがありました。ドイツでも日本と同じように少子高齢化が進んでいます。医学の進歩により、アクティブに動きたいと考える高齢者が増えてきているため、それを手助けするような機器の開発がこれから必要であるという話でした。


最後に、車いすのバーチャル体験を行いました。実際に車いすに乗り車輪を動かすと、前の画面上の景色が実際に走行しているかのように変化していくという装置です。
スロープを上ろうとすると車輪を回すのが重くなり、スロープを下がった際には車いすが加速され勝手に少し進んだり、歩道にある小さな段差を下りた際には、ガタンと車いすに振動が伝わるなど、とてもリアルでした。
車いすに乗るのは初めての経験だったので、車いすで実際に過ごす人の大変さを感じるとともに、不便さを感じない普段の街車いすに乗ると、あまりにも障壁が多く、街のバリアフリー化の必要性を痛感しました。

 

ドイツには、車椅子でも他人からの援助なしに、どこへでも行けるような街づくりを目指すよう法律で定められているようです。実際に、完全なバリアフリー化はできていないらしいですが、国からの指示でバリアフリー化の努力をしているという話を聞いてとても驚きました。実際、ドイツでは、田舎の小さな駅でもエレベーターが設置されていたり、バスはノンステップバスであったるするなど、様々な場所で実感することができました。












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