本日はジャネリアリサーチキャンパスを訪問しました。
この研究所は2006 年アッシュバーンにて、ハワード・ヒューズ氏の遺産、およそ1兆円に基づき設立された研究所です。まだ新しい施設なのですが、ノーベル賞受賞者を複数人輩出しています。創立者の Gerry Rubin 教授はハエ研究の権威であり、神経科学や遺伝、構造生物学、イメージングなど分子生物学的なアプローチによる研究を扱っています。
案内していただいた麻生さんは、東工大の生命理工学部を卒業された後、博士課程をドイツの大学で終えられ、現在Rubin 教授の研究室でResearch Scientistとして研究をなさって6年目になります。現在、麻生さんが所属していらっしゃるRubin研究室の研究資金は1年間で2億円だそうです!これは日本を含む諸外国と比べ、桁が1つ違います。
そのような恵まれた環境下で研究を行ってらっしゃいました。
プロジェクトは完全分業性で、物理や化学など神経科学とは一見異なったバックグランドを持つ人や、実験の材料であるショウジョウバエのみを飼育する人など、一つのプロジェクトに計70人ほどが関わることがあるそうです。豊富な資金力によりこのようなことが可能になるそうです。
麻生さんはショウジョウバエの視覚、触覚を用いて、連想学習や記憶を司るキノコ体の研究をなさっています。ショウジョウバエにおけるキノコ体は脳の神経細胞の4~5割ほどが集まっている重要な領域です。
ショウジョウバエの脳は細胞が約10万個集まって形成されているのですが、50種類ほどある嗅覚細胞に情報が入力された後、1次中枢へ伝達し、同時に信号が発火することで2000個ほど細胞が集まっているキノコ体内部の細胞へと投射されます。
キノコ体には内在性ニューロンであるケニヨン細胞があり、ここへのコネクションが固体に依ってランダムに起こり、現在研究中であること。また、ケニヨン細胞の内6%ほど占める部分が活性化されることで匂いは区別されること。記憶はケニヨン細胞とアウトプット細胞のシナプスの濃度勾配(ウェイト)を変化させること、シークエンス毎の発現場所を特定するために網羅的に調べたデータベースを使用し、1種の細胞だけを活性化するツールの開発
を行っていることなど、研究内容についてディスカッションを行いました。
次に充実した施設環境に驚かされました。
ワシントンから車で1時間弱の小さな町にあるのですが、丘の大部分が施設で、森、菜園などがあり広々としていました。(施設のすぐ側には鹿がいました!)
また、建物の内部は非常に開放的な空間、一人あたりの研究スペースは広く、研究者のサポートには手を抜かない姿勢が表れていました。