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3期 ヨーロッパコース 6日目

6日目

勝俣です。6日目は、午前中にCambridge Laboratory Centre for Gallium Nitride(GaN)に訪問しました。

 

 

まず、この研究室の学生で、現在博士課程の学生であるヘレンさんに、研究室にある装置について案内してもらいました。この研究室では窒化物オプトエレクトロニクスを研究しており、MOCVDシステムでエタピキシャル層成長により量子ドットを作製し、試料をX線回折装置や顕微鏡などで解析を行っています。

 

X-Ray Labという部屋には、何台ものX線回折装置がありました。(写真には全ての装置は入りきりませんでした。)

 

 

それぞれの装置が異なる機能をもっており、他の研究室と共同で使用するため、このように数多くのX線回折装置があるそうです。ここにあるX線回折装置では、エピタキシャル層や量子井戸の構造や化学組成についての測定ができるそうです。

 

次に電子顕微鏡です。

写真の装置では、mm〜Åの、さまざまなスケールでの研究ができます。非常に高さが高い理由は、試料の方向に対してほぼ平行に電子線をあてることで、測定精度を高めるためとのことでした。私が今まで見たどの電子顕微鏡よりも高かったように感じました。他にも顕微鏡の精度を上げる方法として、振動をなくす必要があります。そのため、電子顕微鏡をボックスの中に入れることで中を低温に保ったり、外のパソコンから温度管理をしたりしているそうです。

 

走査型電子顕微鏡(SEM)とカソードルミネッセンス(CL)が組み合わさった装置もありました。

 

さらに、走査型プローブ顕微鏡(SPM)も見せてもらいました。原子間力顕微鏡(AFM)や、ケルビンプローブ顕微鏡(KPFM)、走査型静電容量顕微鏡(SCM)など、様々な走査型プローブ顕微鏡があるとのことです。

写真は原子間力顕微鏡です。原子間力顕微鏡では、量子ドットの表面形状を観察することができ、数nmという原子レベルまで観察することができるそうです。

 

装置以外にも、部屋の天井には外部からの振動を抑えるための工夫がなされていました。

また、AFMや電子顕微鏡の写真にあるように、多くの装置はボックスの中に入っており、これも振動を抑えるためのものでした。

 

次に、オリバーさんから研究内容について説明を受けました。

まず、窒化物オプトエレクトロニクスについては、ナノスケール構造のキャラクタリゼーションと開発を行い、性能向上と高効率化によるコスト削減のための研究を行っているとのことでした。性能においては、現在は特に緑色LEDが悪いそうです。緑色LEDが青色LEDと同じ性能をもち、蛍光体を使用せずにRGB LEDが使用できるようになった場合、全パッケージの10%のコストダウンにも繋がることになるそうです。

私も材料工学専攻であるため、研究テーマがこの研究室と違ったとしても、将来的には高効率化やコスト削減を目指すというゴールは同じだと思いました。なので、このゴールのためにどのような研究を行っているのかを聞けて、非常に勉強になりました。

 

次に、GaN系量子ドット単一光子源についてです。単一光子源はレーザーポンプを照射すると、1度に 1個のフォトンのみが放出されるため、信頼性が高く操作しやすいことが特長です。そして、フォトンの偏光を量子ビットとして利用すれば、デバイスに応用することができます。量子ドットは非常に小さいためにコンタミの影響が出やすいことなどが問題点な一方で、GaN系は常温で効率的に動作する可能性があるとのことでした。

 

研究内容を教えていただいた後は、ケーキタイムに参加させていただきました。ケーキタイムは毎週水曜日の11:00に開かれているそうです。同じ研究室でも、それぞれが異なるトピックスを研究しています。みんなで研究の進捗状況を共有したり、私たちのような訪問者などさまざまな人と会話をしたりすることが非常に大切な機会だと考えているそうです。それ以上に、ケーキを食べることが大事だとおっしゃっていました(笑) 毎週ケーキを作ってくる担当が決まっているという素敵な制度があるそうで、研究室のメンバーは非常に仲が良かったです。

 

また、研究室の環境についても話を聞くことができました。GaN研究所が入所属しているMaterials Science and Metallurgy学部は、振動を防ぐなど顕微鏡測定のための環境を整えるために他のケンブリッジ大学の建物から少し離れた場所にあり、他の研究室と共同で実験装置を利用するため非常にいい装置を利用することができています。このように装置の環境が非常に良いとのことでした。

 

次の訪問先への移動のために、30分程度しか参加することができませんでしたが、研究室のみんなが歓迎してくださり、非常に楽しくお話しすることがでると同時に、ケンブリッジ大学の研究室の雰囲気をつかむことができました。

 

最後に、集合写真を撮りました。

 

その後、ドイツに移動のためにKing’s Cross駅を利用しました。ここにはなんと、ハリーポッターの有名なシーンに使用されていた壁がありました。多くの人が並んでいたために記念撮影はできませんでしたが、遠くから見るだけでも楽しかったです。

 

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