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文化施設訪問 -フィリップス・コレクション展(東京)

 こんにちは!今回は文化学種の一環として、清水、滝沢、秋葉でフィリップス・コレクション展を訪れました。テーマは「近代絵画の教養を身に着ける」です。

 

(1)訪問経緯

 今回のフィリップス展を訪れる事になった理由は、フィリップス展が、モネ、ゴッホ、ピカソなどの有名な画家の展示が一か所で行っており、有名な画家の作品を見ながら、西洋美術史の流れを理解するいい機会になると考えて文化学習を行いました。そこで事前学習では、西洋美術史の歴史とそれに伴う様々な描き方の変化、その代表たる作家などを学びました。(秋葉)

 

(2)事前学習

 今回の文化学習を行うに当たって、文化学習先であるフィリップス・コレクション展について調べたところ主に印象派からポスト印象派の画家の作品が展示されていたため、事前学習として印象派とポスト印象派それぞれについて調べた。軽くその内容についてまとめる。

 近代絵画の初期として有名なのはやはり印象派である。印象派とは、1870年代フランスで起きた絵画の流れで、自然の光を忠実に画面に写し取ることを目標とした写実主義の一つだ。当時はその価値がほとんど認められておらず、風刺新聞シャリヴァリに「印象的にへたくそだ」と書かれたことに由来して印象派と呼ばれるようになった。マネ・モネ・ドガ・セザンヌ等に代表される。(滝沢)

 印象派に続いて台頭したポスト印象派は、印象派の流れを受けながらも、それに反対しつつ独自の画風を生み出した流派である。ここでは流派といったものの、ポスト印象派特有の画風などがあるわけではなく、画家たちそれぞれの作風が生まれていった時代である。そのため、印象派の画風を色濃く受け継ぐ画家もいれば、全く異なった画風を生み出したものもいた。そういった作品が生まれていく中で徐々に形態が固定化されていき、ポスト印象派以降のフォーヴィスムやキュビスムといった新たな画風へとつながっていったという。ポスト印象派の代表的な画家としてゴッホやゴーギャン、ボナールなどが挙げられるが、それぞれフォーヴィスムのアンリ・マティスやキュビスムのパブロ・ピカソに影響を与えたとされ、以降の絵画世界の発展の基礎を構築した流派とも言えるのではないだろうか。(清水)

開かれた窓(ピエール・ボナール)

(3)感想

・秋葉

 西洋美術の流れをある程度理解してから、美術館を訪れる事で時代による描き方の違いなどを意識しながら見る事ができたので、絵の印象、美術史共に印象に残りやすくなと思うのでそこはよかったと思います。なかでも印象に残ったのは、ブラックという画家で、キュビスムという多視点画法などを用いる描き方の流派に属する人です。現実ではありえないような、一つの物を色々な角度から見た様子が一つの絵のうちにうまく描かれているという事に深く印象づけられました。個人的な反省としては、当日の午前中の事前学習は予定があっていけず、午後からの事前学習の参加だったのは準備不足だったのではないかと思いました。しかし、今回の文化学習では、有名な作家の作品をある程度は知る事ができたので、来年の海外渡航だけでなく、その先の事を考えればよい知識を身に着ける場所になったと思いました。

 

・清水

 まず第一に事前学習を踏まえて行ったことで、実際に絵画を見た際に注意して見る点や絵画ごとの違いを知ることができた。特に事前学習では先にも述べた通り印象派とポスト印象派の違いについて調べていたため、時代による画風の移り変わりや画家ごとのタッチの違いなどに重点を置いて観察することができた。特に私の心に残った作品は、エドガー・ドガの「踊りの稽古場にて」と「稽古する踊り子」の2つである。この2つは、同じ画家の作品であり、題材も似たようものでありながら全く違う表情の絵画になっている。前者は印象派独特のタッチがありながら光を意識した作品であり、ドガが印象派の画家であるということがはっきりとわかるものであった。それに対し後者は印象派であるドガの作品には珍しくポスト印象派やフォーヴィスム画家のような色合いの激しさを持った作品になっており、バレエという静かな題材にもかかわらず情熱を感じる作品であった。このように同じ画家でも作品年数によって画風が全く変わっていることを自分の目で見ることができたことが今回の1番の良かった点とも言えるだろう。今まで美術館にはそこまでいったことがなく、美術に対する興味はそこまでなかったものの、今回のように事前に作品に対する知識を持った上で見てみると様々な発見があり、より自分の知識を深められるような気がした。これは来年度のEPATSの渡航においても重要なことだと感じたので、事前学習をこれからしっかり行い、来年に備えたいと思う。

 

・滝沢

 今まで事前に何かを勉強してから美術館など訪れたことはなかったため、今回の訪問はかなり新鮮だった。今回の訪問の目的は、「絵画を楽しむ」ではなく、「近代絵画の教養を身に着ける」であった。事前に近代西洋絵画の時代別の変遷や分類を確認しておいたため、絵の良し悪しまでは分からないものの、その絵が誰のおよそどの時期に書かれたものか程度は分かるようになっていた。また事前にネットで見ていた絵画の本物を見たとき、「これか!」という感動も感じることもできた。

 ただ、今述べたような基本的なところが分かってくると、絵画の奥深さやその分からなさも増してくる。例えば絵画は時代とともに変化するが、それは必ずしも進化ではない。次代と共に画風や表現が自由になり洗練されていく、等の法則があればわかりやすいのだが、実際はそう簡単には説明つかない。それは一人の画家についてもいえ、〇〇派と単純にくくることにも無理がある。さらには、今回訪問したフィリップス美術館のようにコレクターによる展示だと、コレクターの人柄や周りの環境も関係してくる。色々な要素や感情が複雑に絡んでいて、言葉や理論で説明がつくことではないということも知ることができた。  

 今回の訪問先には、近代絵画の画家のうち有名な人の作品はほとんど揃っていて、近代画家の流れを知るには非常に良かった。ただいくつか、分からなかったこともある。例えば事前学習で少し調べたセザンヌについてなどだ。彼は印象派の画家であり当時世間から全く認められていなかったが、のちにその功績が認められて近代絵画の父と言われている。彼の画風は時代と共に代わり、ポスト印象派として多視点描写を用い、やがてそれはピカソやブラックといったキュビスムへと発展していく。そのような過程を見れると思っていたが、実際は意外と彼の作品がなく、展示の順番もフィリップスが集めた順となっており流れが掴みにくかった。いつか別の美術館で見てみたい。

    今回、見学していた時間は1時間程度だったが、本当にたくさんのことが学べ、また自分の興味も広がった。そしてこれらは事前学習のおかげである。今後、EPATSの活動に限らずだが、事前学習は大切にしていきたい。

森の中の鹿(フランツ・マルク)

 以上

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